高橋花音との相談を終えて、ある程度進むべき道が見えた気がする。

 教室では理科の授業が始まっており、天気の法則が説明されている。だけど、俺にはまったく分からない。

 別にどうでもよかった。天気ごときヤフーニュースを見れば一発で分かるし、自分で調べる必要性をまったく感じない。

 俺は授業を受けるフリをしながら、今後どうするかを考えていた。もっと言えば、どうやって美織さんを助けるかだ。

 おそらく、今の段階でオヤジを美織さんに会わせようとしても失敗する。それどころか、夜な夜な学校に侵入していたことがバレて、二度と美織さんに会えなくなる可能性だってある。それは嫌だ。

 そうなると、もっと別のアプローチから攻めていく必要がある。

 最近になって、つくづく俺は何も分かっていないことに気付いた。美織さんがオヤジや母さんと同級生だったことにも気付いていなかったし、第三者的な視点で見ると俺はかなりアホの子みたいになっている。

 頭が悪いのは仕方がない。だけど、それを補足する方法がある。

 次に俺がするべきこと――それは調査だ。

 考えてみたら、俺は美織さんとの会話でしか美織さんを知らない。だけど、卒業アルバムのように彼女の痕跡が具体的に残っている何かがあるはずだ。

 加えて美織さん、オヤジ、母さんは全員同じクラスだったことも分かっている。他にも資料があれば、そこを切り口に美織さんを救う鍵が出て来るかもしれない。

 考えてみたら、資料は卒業アルバム以外にもあるはずだ。昔の写真やら、文集やら、それらを漁っていけば26年前にあったことを解明出来るかもしれない。まあ、そんなに資料があるはずもないから収穫もたかが知れているんだけど。

 ひとまずは卒業アルバムの置いてあった書斎を探してみるか。後は図書館で過去の新聞記事を見てみよう。時間に制限があるから、先に図書館だな。