美織さんの話が終わった。
幽霊が泣いている。……いや、そこじゃない。
俺の中で、すさまじい勢いでパズルが完成していく。美織さんの伏せていた情報を得た途端に、次々と真実が積み上げられていく。
「美織さん、話してくれてありがとう。今日はこれで帰るよ」
「そう。また来てね。それと、話を聞いてくれてありがとう」
美織さんは名残惜しそうに手を振る。俺は今にも叫び出したい衝動を堪えながら、平静を保ちつつ帰路に着いた。
――なんてこった。とんでもない事実が浮かび上がって来たぞ。
そう叫びたいが、今の段階では誰にも言えないし、俺の方でも即刻確認しないといけないことがある。
しかし、なんで今まで気付かなかったんだ。自分のアホさに呆れてしまう。
俺の母さん――旧姓は佐藤。そして、オヤジの名前は正和だ。
もう、「まさか」なんてレベルの話じゃない。これはほとんど確信に近い。
――俺の両親は、美織さんと親友だったんだ。
……ってことは、美織さんの事故死にまつわる出来事は、とんでもなく狭い範囲で起こったってことか?
家に帰ると、誰にも気取られないよう書斎へ行く。ここには購入したまま読まれていない小説と、後は学術書の類が保管されている。
いつだったか、この部屋で「エロ小説でも置いていないかな」と本を漁った経験があった。お目当ての品は見つからなかったが、思わぬ副産物を見つけていた。
――そうだよ。あの写真を見た時も、「この丸い写真に入った女の子がすごいかわいい」って思っていたじゃないか。なんで忘れていたんだ。
書斎でお目当ての品を見つける。両親の通っていた、そして今の俺が通っている中学校の卒業アルバム。
ページを捲ると、生徒の紹介写真がずらっと並んでいた。俺の推測が正しければ……。
「やっぱり……」
点と線が繋がった。卒業アルバムには中学生時代のオヤジと母さんが載っていたが、一人だけ丸い写真でページ右上の角に掲載されている生徒がいた。
見た目がアイドル並みだったから、芸能人がクラスにいて、仕事か何かで撮影が出来なかったのかなと思っていた。でも、違う。
――彼女はその時、すでに死んでいたんだ。
見慣れたショートボブ。血色はいいけど、間違いない。
写真の下にある「加藤美織」の表記――その写真は、明らかに「あの」美織さんだった。
幽霊が泣いている。……いや、そこじゃない。
俺の中で、すさまじい勢いでパズルが完成していく。美織さんの伏せていた情報を得た途端に、次々と真実が積み上げられていく。
「美織さん、話してくれてありがとう。今日はこれで帰るよ」
「そう。また来てね。それと、話を聞いてくれてありがとう」
美織さんは名残惜しそうに手を振る。俺は今にも叫び出したい衝動を堪えながら、平静を保ちつつ帰路に着いた。
――なんてこった。とんでもない事実が浮かび上がって来たぞ。
そう叫びたいが、今の段階では誰にも言えないし、俺の方でも即刻確認しないといけないことがある。
しかし、なんで今まで気付かなかったんだ。自分のアホさに呆れてしまう。
俺の母さん――旧姓は佐藤。そして、オヤジの名前は正和だ。
もう、「まさか」なんてレベルの話じゃない。これはほとんど確信に近い。
――俺の両親は、美織さんと親友だったんだ。
……ってことは、美織さんの事故死にまつわる出来事は、とんでもなく狭い範囲で起こったってことか?
家に帰ると、誰にも気取られないよう書斎へ行く。ここには購入したまま読まれていない小説と、後は学術書の類が保管されている。
いつだったか、この部屋で「エロ小説でも置いていないかな」と本を漁った経験があった。お目当ての品は見つからなかったが、思わぬ副産物を見つけていた。
――そうだよ。あの写真を見た時も、「この丸い写真に入った女の子がすごいかわいい」って思っていたじゃないか。なんで忘れていたんだ。
書斎でお目当ての品を見つける。両親の通っていた、そして今の俺が通っている中学校の卒業アルバム。
ページを捲ると、生徒の紹介写真がずらっと並んでいた。俺の推測が正しければ……。
「やっぱり……」
点と線が繋がった。卒業アルバムには中学生時代のオヤジと母さんが載っていたが、一人だけ丸い写真でページ右上の角に掲載されている生徒がいた。
見た目がアイドル並みだったから、芸能人がクラスにいて、仕事か何かで撮影が出来なかったのかなと思っていた。でも、違う。
――彼女はその時、すでに死んでいたんだ。
見慣れたショートボブ。血色はいいけど、間違いない。
写真の下にある「加藤美織」の表記――その写真は、明らかに「あの」美織さんだった。



