何日かかけて「るろうに剣心」シリーズの映画を観終わった美織さんは大満足だった。幽霊のくせに涙まで流して、よっぽど好きだったんだろうなと思う。
機嫌が良さそうなのもあって、俺は美織さんの過去について訊いてみることにした。
「美織さん、ちょっといいかな」
「なあに?」
「美織さんは、その……事故でこうなったわけじゃない?」
さすがに「トラックに轢かれて死にましたよね?」とは言えず、やんわりとした表現でぼかして続ける。
「この前さ、美織さんと話している時に、どうもその猫が見ていたらしい映像が見えたんだよね」
「マジで? 剣心君、本当に霊能者なんじゃないの?」
青白い幽霊が本気で驚いている。なんかシュールな光景だ。
「それで思ったんだけど、今の学校から出られない状態って、このあたりのことも関係あるんじゃないかなって思って」
「あーなるほど。その視点は無かったね」
「それで情報収集も兼ねてなんだけど、この前の話でまだ言ってないこととかない?」
「あーそれはねえ……」
美織さんがわざとらしく腕を組んで、あさっての方向に視線を遣る。
「あるんだ」
「ちょっ……なんで分かったの?」
「なんか視線が泳いだから」
「幽霊にそういう技を使うのやめてもらえます?」
「美織さんが分かりやすいだけだよ」
「まあ……分かったよ。そうだよね。この状態を抜け出すために必要な情報だもんね」
美織さんはどちらかと言えば自分に言い聞かせるように言った。
「それじゃあ、話すね。正直気が進まないんだけどさ」
そう言うと、美織さんが26年前についてまた語りはじめる。俺は彼女の話に全神経を集中させた。
機嫌が良さそうなのもあって、俺は美織さんの過去について訊いてみることにした。
「美織さん、ちょっといいかな」
「なあに?」
「美織さんは、その……事故でこうなったわけじゃない?」
さすがに「トラックに轢かれて死にましたよね?」とは言えず、やんわりとした表現でぼかして続ける。
「この前さ、美織さんと話している時に、どうもその猫が見ていたらしい映像が見えたんだよね」
「マジで? 剣心君、本当に霊能者なんじゃないの?」
青白い幽霊が本気で驚いている。なんかシュールな光景だ。
「それで思ったんだけど、今の学校から出られない状態って、このあたりのことも関係あるんじゃないかなって思って」
「あーなるほど。その視点は無かったね」
「それで情報収集も兼ねてなんだけど、この前の話でまだ言ってないこととかない?」
「あーそれはねえ……」
美織さんがわざとらしく腕を組んで、あさっての方向に視線を遣る。
「あるんだ」
「ちょっ……なんで分かったの?」
「なんか視線が泳いだから」
「幽霊にそういう技を使うのやめてもらえます?」
「美織さんが分かりやすいだけだよ」
「まあ……分かったよ。そうだよね。この状態を抜け出すために必要な情報だもんね」
美織さんはどちらかと言えば自分に言い聞かせるように言った。
「それじゃあ、話すね。正直気が進まないんだけどさ」
そう言うと、美織さんが26年前についてまた語りはじめる。俺は彼女の話に全神経を集中させた。



