みんな気付いていないけど、わたしは知っている。
最近、井村君の様子がおかしい。
もともと掴みどころの無い男子ではあったけど、ずっと彼のことを見ているから些細な変化にも気が付くことが出来た。隣の席だからっていうのもあるけど。
まず、井村君は何かを隠している。それが何かは分からないけど、授業中眠そうにしていることも多くなったし、何かをしているのか訊いてみてもどこか歯切れが悪い。
何よりも気になるのが、どこかをぼーっと見ている時の目が、好きな人を見ているような視線に変わる瞬間だった。
別に、彼が誰を好きになったって構わないんだけどさ、なんか気になるっていうか、わたしの知らない誰かを好きになっているのは面白くないっていうのはある。
だって、そうじゃない。
わたしは前から井村君が気になっていたし、バレンタインで友チョコぐらいあげてもいいかなって思っていたら他の女子に囲まれて、なんかムカついている内に渡す機会を失っちゃった。
あの時は悔しくて泣いたけど、別に井村君が好きってわけじゃない。それは断じて認めない。彼は恋人ではないの。
それでも普段から仲良くしてるから、ちょっとぐらいはわたしのことを好きでもいいよねって思っていたのに、ここに来て裏切りってわけ?
……ああ、ダメだ。なんか被害妄想になってる。こんなんじゃ嫌われちゃうよね。
でもさ、気になるものはしょうがないよね。だって井村君は見た目ならちょーっとはカッコいいかな、なんて思わなくもないし。
頭にきたから、しばらく彼のことは見張っていよう。そうだ、わたしは彼が心配だから見守っているだけなんだ。
さすがわたし。偉い。偉すぎる。
だからお願い。神さま、この誠実さが届きますように。
最近、井村君の様子がおかしい。
もともと掴みどころの無い男子ではあったけど、ずっと彼のことを見ているから些細な変化にも気が付くことが出来た。隣の席だからっていうのもあるけど。
まず、井村君は何かを隠している。それが何かは分からないけど、授業中眠そうにしていることも多くなったし、何かをしているのか訊いてみてもどこか歯切れが悪い。
何よりも気になるのが、どこかをぼーっと見ている時の目が、好きな人を見ているような視線に変わる瞬間だった。
別に、彼が誰を好きになったって構わないんだけどさ、なんか気になるっていうか、わたしの知らない誰かを好きになっているのは面白くないっていうのはある。
だって、そうじゃない。
わたしは前から井村君が気になっていたし、バレンタインで友チョコぐらいあげてもいいかなって思っていたら他の女子に囲まれて、なんかムカついている内に渡す機会を失っちゃった。
あの時は悔しくて泣いたけど、別に井村君が好きってわけじゃない。それは断じて認めない。彼は恋人ではないの。
それでも普段から仲良くしてるから、ちょっとぐらいはわたしのことを好きでもいいよねって思っていたのに、ここに来て裏切りってわけ?
……ああ、ダメだ。なんか被害妄想になってる。こんなんじゃ嫌われちゃうよね。
でもさ、気になるものはしょうがないよね。だって井村君は見た目ならちょーっとはカッコいいかな、なんて思わなくもないし。
頭にきたから、しばらく彼のことは見張っていよう。そうだ、わたしは彼が心配だから見守っているだけなんだ。
さすがわたし。偉い。偉すぎる。
だからお願い。神さま、この誠実さが届きますように。



