かつて世界は一つだった。

　国境もなく、神の世界との境界もなく、人々は手を取り合って暮らしていた。

　神も、人々と戯れるように、様々なものを人に施していた。火、言葉、緑、愛…。

　だから、人々は神を親のように慕い、大切に祀っていた。

　でも、いつからだろう…。

　人々は、神を見捨てた。

　進歩と利益に執着し欲に溺れた人間たちは………………やがて、戦争を始めた。

　それは、人のやさしさを焼き尽くし、女子どもすら容赦なく殺す、むごいものだった。

　人類の数は急激に減った。かつての緑はもうなく，荒野がどこまでも広がるのみだった。食べるものももう、どこにもなかった。

　そこで、ある国の王が、こんなことを言い出した。

　「昔聞いたことがある。神の門を見つけ出し、呪文を唱えれば，神がやってきて，人を救ってくれると。」

　早速人々は、その門を見つけ出し、門の神を呼び出した。

　門の神は願いを叶えてやると言う代わり、条件を出した。

　「代わりに、私たちがこの星を支配する。お前たちは生かすが、ずっと我らの元で生きてもらうことになる。」

　彼らはうなずき、涙を流して喜びあった。彼らにとってそれはこれ以上にないほどの“救い”だった。

　こうして…神々が支配する世界が始まった。


　そこでは、力は全ての世界だった。


　力が全ての価値となり、持たぬものは階級の最下層とされた。

　誰も気づいていなかったのだ。

　この契約の本当の“意味。”

　それが、誰かの欲を叶える罠にすぎなかったことを。

　神の“真意”。

　張り詰めた笑顔の裏は、光の裏で広がる影のように、暗く……赤い血でそまっていたことを。


　それに気づいた人々が、革命の炎を灯したことを。


　こんな世界で、私…ホーマは生まれた。

　地位も名誉も、魔法もない

　一人の、人間として。


　こんな場所で、一体どこに私の居場所があるのだろう…。

　最初はそう思っていた。

　でも今は、少し違う。

　本当の自分を見つけられたから。そして…何より私を思ってくれる，仲間を見つけたから。

　これは、神の門で始まったこの世界で、
　少女たちが、希望を見つけていく物語。