「彩雪さん、無事か」
「はい。千代子さんは……」
 言われた煌真は倒れている千代子に歩みより、その手をとって脈をはかる。

「大丈夫そうだ。操られていたから体力や霊力の消耗はあるだろう。詳しくは病院に運んで診てみる必要がある」
 彩雪はほっと息をついた。直後、めまいがしてふらりと倒れそうになる。
「彩雪さん!?」
 すかさず煌真が抱き留める。

「ちょっと力を使いすぎたようです」
「身重で無理をするなど」
「煌真さまのためですから。きっとこの子も同じことをします」
 彩雪の強気に煌真は苦笑し、そのまま抱き上げた。

「煌真さま!?」
「このままベッドまで運ぼう。今日はゆっくり休め」

「……煌真さまもご一緒でなければ嫌です」
「しかし」
 煌真が幹雅を見ると、彼は苦笑をこぼした。

「あとはこっちでやっとくんで」
 幹雅に言われ、煌真は頷く。
「頼んだ」
 短く言い捨て、煌真は彩雪を連れて屋敷へと向かう。
 彩雪はほっと息をつき、彼の広い胸に頭をもたせかけた。