「霊力を込めて……」
 彩雪はハッとして煌真を見た。
 昨日、煌真に霊力を注いだとき、彼の霊力はまた流れをせき止められていた。そのせいで弾丸にきちんと霊力を込められなかったのではないだろうか。
 ならば、自分が彼に霊力を注げば。
 彩雪は煌真の背にしがみつき、霊力を注ぐ。

「彩雪さん!?」
「霊力は私が補充します。ですから煌真さまはあやかしを!」
「わかった」
 煌真は頷き、銃を構える。

「幹雅は千代子さんを押さえていて、あやかしを近寄らせるな!」
「了解!」
 幹雅は少しでもあやかしから距離をとるべく、ずるずると千代子をひっぱって後退する。

「ええい、人間ごとき!」
 叫んで、あやかしが空中に飛び上がる。
 煌真はすかさず銃を向け、頭に向かって撃った。
 強い霊力のこもった弾丸に貫かれ、あやかしは地面へと落ちた。が、まだ煌真をにらみつけ、起き上がろうとする。

「うう……このようなちっぽけなもので」
 蛇男は悔しそうに吐き捨てる。
「時代は変わった。あやかしが好き放題できると思うな」
 煌真は再度、引き金を引いた。

 轟音とともに蛇男が倒れ、動かなくなった。と同時に千代子も意識を失って倒れる。幹雅はバランスを崩しながらもかろうじて支え、ゆっくりと地面に彼女を寝かせた。