お腹の膨らみが病気由来ならば治癒の力が効くかもしれないし、治癒は心には効かないが、病気が収まれば千代子も落ち着くのかもしれない。
「押さえていただけましたら、たぶん」
「では、そのように」
答えた煌真はちらりと幹雅を見る。彼が頷くのを見て、大胆にもまっすぐに千代子に歩いて行く。
「煌真さま」
千代子はうっとりとつぶやき、煌真に駆け寄る。
抱き付く寸前、煌真はさっと取り押さえて地面に押し付けて拘束した。
「煌真さま!?」
千代子が驚きの声をあげる。その足を幹雅が抑え込んだ。
彩雪は急いで近寄り、彼女の背に手を当てた。
「なにをするの、やめなさい!」
千代子がもがくが、煌真の力のほうが強い。
彩雪は恐怖をふりきり、当てた手に霊力をこめ、千代子に流し込む。
直後、頭の中には千代子の中が真っ黒になっているのが見えた。霊力はたいていの場合は金色で、その強さによって濃淡がある。病気にかかると黒っぽくなるが、それ以外で真っ黒なのは邪な心を持つ者かあやかしか、と言われている。
あまりのどす黒さに吐き気を催しながらも霊力を注ぎ、お腹のあたりが特に黒いことに気が付いた。
おかしい。
さらに霊力を注ぐと、黒いものがぐるぐると動き始めた。
「やめろ、やめろぉぉ!」
千代子が、千代子とは思えないどすの効いた声を発して暴れ出す。
直後、千代子のお腹がさらに膨れ上がり、お腹からはじき出されるように黒いものが現れる。
それはやがて大きな蛇の姿となった。頭だけが男の顔を宿している異形だ。目は蛇のようで、口から裂けた舌がちろちろと覗く。
「押さえていただけましたら、たぶん」
「では、そのように」
答えた煌真はちらりと幹雅を見る。彼が頷くのを見て、大胆にもまっすぐに千代子に歩いて行く。
「煌真さま」
千代子はうっとりとつぶやき、煌真に駆け寄る。
抱き付く寸前、煌真はさっと取り押さえて地面に押し付けて拘束した。
「煌真さま!?」
千代子が驚きの声をあげる。その足を幹雅が抑え込んだ。
彩雪は急いで近寄り、彼女の背に手を当てた。
「なにをするの、やめなさい!」
千代子がもがくが、煌真の力のほうが強い。
彩雪は恐怖をふりきり、当てた手に霊力をこめ、千代子に流し込む。
直後、頭の中には千代子の中が真っ黒になっているのが見えた。霊力はたいていの場合は金色で、その強さによって濃淡がある。病気にかかると黒っぽくなるが、それ以外で真っ黒なのは邪な心を持つ者かあやかしか、と言われている。
あまりのどす黒さに吐き気を催しながらも霊力を注ぎ、お腹のあたりが特に黒いことに気が付いた。
おかしい。
さらに霊力を注ぐと、黒いものがぐるぐると動き始めた。
「やめろ、やめろぉぉ!」
千代子が、千代子とは思えないどすの効いた声を発して暴れ出す。
直後、千代子のお腹がさらに膨れ上がり、お腹からはじき出されるように黒いものが現れる。
それはやがて大きな蛇の姿となった。頭だけが男の顔を宿している異形だ。目は蛇のようで、口から裂けた舌がちろちろと覗く。



