「ちょっとお待ちなさい」
藍子はすぐに部屋を出て行き、すぐにひとりの女中を連れて戻って来る。
「今日、彼女は包丁で手を切ってしまったの」
藍子の言葉に、察した彩雪は彼女の手をとった。
「若奥様?」
女中は困惑してたずねるが、彩雪はすでに精神を集中させている。
黄金の光がほわほわと彼女の手を包み、傷が見る間に塞がっていく。
「え!?」
彼女はなんどもまばたきをして自分の傷を確認する。ざっくりと切れていたのに、今は傷ひとつない。
手を離した彩雪は呆然と煌真を見る。
立ち上がった煌真はあたたかく微笑して彼女を抱きしめる。
「おめでとう。癒しの異能が戻ったようだね」
「信じられません」
彩雪はぎゅっと煌真にしがみつく。
そうして祈る。本当に癒しの力が戻ったのなら、煌真の体がよくなりますように、と。
精神を集中するとともに、手に霊力が集まっていくのがわかる。それをそのまま彼に注ぐ。
彼は驚いて体を離そうとするが、彩雪は力をこめて彼を離さない。
彩雪の頭の中に彼の霊力の流れが浮かんできた。心臓のあたりで糸がこんがらかって乱れている。まるで誰かが乱雑に結んだかのようだ。
彩雪は霊力でそっとその糸を撫でる。ほどける場所を探し、少しずつ、少しずつ、ほどいていく。
しばらく格闘し、ようやくすべてがほどけたとき、霊力がいっきに流れ始めた。
藍子はすぐに部屋を出て行き、すぐにひとりの女中を連れて戻って来る。
「今日、彼女は包丁で手を切ってしまったの」
藍子の言葉に、察した彩雪は彼女の手をとった。
「若奥様?」
女中は困惑してたずねるが、彩雪はすでに精神を集中させている。
黄金の光がほわほわと彼女の手を包み、傷が見る間に塞がっていく。
「え!?」
彼女はなんどもまばたきをして自分の傷を確認する。ざっくりと切れていたのに、今は傷ひとつない。
手を離した彩雪は呆然と煌真を見る。
立ち上がった煌真はあたたかく微笑して彼女を抱きしめる。
「おめでとう。癒しの異能が戻ったようだね」
「信じられません」
彩雪はぎゅっと煌真にしがみつく。
そうして祈る。本当に癒しの力が戻ったのなら、煌真の体がよくなりますように、と。
精神を集中するとともに、手に霊力が集まっていくのがわかる。それをそのまま彼に注ぐ。
彼は驚いて体を離そうとするが、彩雪は力をこめて彼を離さない。
彩雪の頭の中に彼の霊力の流れが浮かんできた。心臓のあたりで糸がこんがらかって乱れている。まるで誰かが乱雑に結んだかのようだ。
彩雪は霊力でそっとその糸を撫でる。ほどける場所を探し、少しずつ、少しずつ、ほどいていく。
しばらく格闘し、ようやくすべてがほどけたとき、霊力がいっきに流れ始めた。



