「どこのお医者さまに頼んでいるのですか? お薬は薬局でも買えるのですか? 私、行って参ります」
「三丁目のお医者様に……ですがこの時間ではもう無理です」
「でも、お辛そうです」
「大丈夫です、いつものことですよ」
煌真はにっこりと笑って見せて、だから彩雪の胸はひどく痛んだ。苦しいはずなのに安心させようとしてくれる。彼はどれだけ心が強いのだろう。
「とにかくベッドへお戻りを」
彩雪は彼を支えてベッドに寝かせ、それから彼の手を取る。
「失礼します」
「なにを……?」
問いかけに答えず彼の手を両手で包み、彩雪は目を閉じて集中した。が、しばらくののち、彩雪はあきらめて両手を離す。
「すみません。小さい頃は癒しの力があったので、今もできないかとやってみたのですが……」
「以前は御父君を上回る力をお持ちだったとか」
「でも今はできなくて……待っててください、薬をもらってきます!」
「慌てなくてもいいのですよ、明日で」
「でも……」
「夜間に女性がひとりで歩くなど危険ですからね。あやかしが出る危険も高まります。私を思うのであればおやめいただきたい」
彼に制止され、彩雪はうつむいた。
「おじや、いただきますね。ありがとう」
「はい」
彩雪はしょんぼりと返事をする。
窓の外では黒い雲が渦巻き、今にも雨が降り出しそうだった。
「三丁目のお医者様に……ですがこの時間ではもう無理です」
「でも、お辛そうです」
「大丈夫です、いつものことですよ」
煌真はにっこりと笑って見せて、だから彩雪の胸はひどく痛んだ。苦しいはずなのに安心させようとしてくれる。彼はどれだけ心が強いのだろう。
「とにかくベッドへお戻りを」
彩雪は彼を支えてベッドに寝かせ、それから彼の手を取る。
「失礼します」
「なにを……?」
問いかけに答えず彼の手を両手で包み、彩雪は目を閉じて集中した。が、しばらくののち、彩雪はあきらめて両手を離す。
「すみません。小さい頃は癒しの力があったので、今もできないかとやってみたのですが……」
「以前は御父君を上回る力をお持ちだったとか」
「でも今はできなくて……待っててください、薬をもらってきます!」
「慌てなくてもいいのですよ、明日で」
「でも……」
「夜間に女性がひとりで歩くなど危険ですからね。あやかしが出る危険も高まります。私を思うのであればおやめいただきたい」
彼に制止され、彩雪はうつむいた。
「おじや、いただきますね。ありがとう」
「はい」
彩雪はしょんぼりと返事をする。
窓の外では黒い雲が渦巻き、今にも雨が降り出しそうだった。



