余命一年の優美なる軍医は能力を無くした治癒師を溺愛する

 ひときわ目立っているのが彼らの息子と思われる青年だった。髪の色はこの国では珍しく金茶をしており、瞳の色もまた薄い。霊力が強過ぎるせいだろうか、と彩雪は思う。霊力が強過ぎると髪と瞳の色が薄くなることがある、と聞いたことがあったからだ。白磁を通り越して青白い肌に切れ長の瞳が美しく、髪はさらさらしていた。男性にしては手足は細く、洋装のせいもあってまるで西洋の人形のようだ。

 女性が立ち上がり、彩雪のそばによる。
「ようこそおいでくださいました。癒島彩雪さまでいらっしゃいますの?」
「はい」
 彩雪は頷く。

「まさかおひとりで?」
「はい」
「まあ」
 彼女は驚いたように手を口に当て、彩雪ははずかしくて顔を伏せた。やはり嫁入りは普通、ひとりで来たりなんかしないのだろう。

「とにかくおかけになって。私は闇狩藍子(あいこ)。あちらの偉そうなのが夫の政経(まさつね)
 藍子に促されたものの、汚れた着物で座るのが申し訳なくて、彩雪は動けない。
「偉そうなのは余計だろう。初めてまして、彩雪さん」
 どっしりとかまえた男性が挨拶とともに頭を下げるので、彩雪も頭を下げ返した。

「……初めまして、よろしくお願いします」
「で、あちらが息子の煌真(こうしん)よ」
 紹介された煌真に会釈され、彩雪は頭を下げる。

「初めまして、彩雪でございます。今日からよろしくお願いします」
「……今日から?」
 彩雪の言葉に、煌真がけげんな顔をする。