目を合わせるまでの距離

夕方、アナウンスが更新され、「一部の地域で帰宅可能」と告げられる。

体育館の空気が少しざわつく。

私たちの区画はまだ様子見だが、夜の色は昨夜より明るい。

私はベンチでノートを開き、今日の頁の最後に線を引く。

「今日:選ぶのはわたし/挨拶:3回(影3.0,3.2,3.1)/委員:完了×5/名前:苗字3.0・下の名前1.7(丸)/きもち:揺→均→少し広」

スマホは伏せたまま。

通知は来ない。

来ても、見るか見ないかは私が決める。

りこに短く送る。

「やった分、印つけた」

すぐにスタンプが返る。