目を合わせるまでの距離

「おはようございます」

係の先生に先に声をかける。

目は眉間の影で三秒。

いち、に、さん。

喉の奥が少し熱いけれど、声は出る。

先生が「助かるよ」と笑って、私はノートに小さく「挨拶①:3.0秒(影)/きもち:熱→平」と書く。

配布が始まる。

私は手順を大きめの声で復唱する。

「水は一本ずつで回します。小さなお子さんは先にどうぞ」

声の高さは、昨日より半音低い。

お年寄りに毛布を渡すとき、「足もと、段差あります」と添える。

視線は影で三秒。

いち、に、さん。