午前の空気は薄くなり、掲示の紙が乾いた波の形からまっすぐへ戻りつつあった。

私はベンチで三秒ノートを開き、昨日の欄の下に今日のタイトルを書き入れる

――「選ぶのはわたし」

そのタイミングでスマホが一度だけ震え、りこからメッセージが届く。

「灯が決めな」

句読点のない四文字と三文字。

短いのに、背中の中心にまっすぐ刺さって、そこで温かくなる。

私は通知をまたオフに戻し、画面を伏せた。

選ぶというのは、見ないことも含む。