文字は短い。

「避難所で先輩狙い?(笑)」

胸の底が、ひやっと空洞になる。

視線が勝手に落ちる。

床の白いテープの継ぎ目へ。

安全地帯。

手首の下で脈を探す。

トン、トン。

四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。

――数が、二でほどけた。

通知が二つ、三つと重なる。

スクリーンの文字は細くて鋭い針みたいになる。

私はスマホを伏せ、ノートの欄外に小さく書く。

「SNS/きもち:冷→ざわ」

文字の角が、今だけ頼りない。

遠くで子どもが笑い、近くで誰かが「ありがとう」と言う。

その音は、いまは届きにくい。