午前の光は、体育館の高い窓のすぐ下を白くこすっていった。

雨はもう細い糸で、ときどき思い出したように音を立てるだけ。

非常口の緑は昨夜ほど強くなく、銀の毛布の皺も、地図というよりノートの罫線みたいにまっすぐだった。

私はベンチの端で胸ポケットから三秒ノートを取り出し、朝いちばんの欄に小さく書く。

「見られた秒:2.6/合図:なし/きもち:肩ゆるむ」

鉛筆の芯は、昨日よりもするすると紙に入る。

手首に指を当てれば、トン、トン。

四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。

呼吸は、今は言うことを聞く。

受付のほうで名簿を読む声が、今日に入ってから少しだけ高くなった。