できなかった回は書かない。

できた回にだけ印をつける。

りこから夜中に来ていたメッセージ

――「できた回だけ印つけよ」を思い出す。

できなかった日は、白いままでいい。

その白も、ちゃんと翌日の余白になる。


母が「手伝い、行くの?」と目で聞く。

私はうなずいて立ち上がる。

足元のテープの白を安全地帯にしながら、入口のダンボールへ。

カイロ、紙皿、簡易トイレの袋。

ラベルの活字は相変わらず、視線を置かせてくれる。

心臓は少し速いけれど、昨夜より整いやすい。

トン、トン――手首で脈をひとつ確認して、私は鉛筆の先を指で丸く整え、ノートをパーカーの胸ポケットにしまった。