朝は、体育館の高い天井の色がゆっくり薄くなっていくところから始まった。

非常口の緑はまだくっきりで、銀の毛布には細い皺が地図みたいに延びている。

雨音は昨夜より柔らかい。

係のアナウンスが「午前は物資の補充と整頓を」と告げ、周囲で何人かが小さくうなずく気配。

私は膝の上の懐中電灯を消し、深く一度息を吐いた。


ポケットから、昨日のメモ用紙を取り出す。

四つの小さな四角。

その横に、鉛筆で欄を足す。

「見られた秒」「合図」「きもち」。

タイトルの行に、ためらいながら書く――三秒ノート。