内と外を分ける輪郭がある。

それだけで少し安心する。

非常口の緑の四角が、毛布の皺を細く照らして伸びる。

体育館の時計は静かで、秒針は聞こえない。

静かな秒が、空気の中で見えないまま進んでいく。

四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。

呼吸は、まだ言うことを聞く。

耳の奥で遠くの雷が丸い石みたいに転がり、屋根の一部だけが別の太鼓になったみたいに、どん、と鳴る。

眠るには、まだ少し明るく、少し騒がしい。

私は毛布の内側で指先を擦り合わせ、戻ったばかりの温度を確かめた。

丸い光の端に、私の影が小さく揺れる。

逃げ場所として選んだその丸の中に、今夜だけは自分を置いておく、と心の中で決める。