夜は、体育館の高い天井をゆっくり一周して戻ってくるみたいに、濃さを増していった。
名簿を読む声は減り、代わりに毛布の擦れる音や、どこかで誰かが咳を二度こらえる音が目立つ。
床のビニールと靴底が触れ合うたび、短い音が跳ねて消え、すぐに別の音が重なる。
父は懐中電灯の明るさをもう一度確かめ、電池を逆さにして戻し、「万一のために」と口の中で言った。
母は濡れたタオルを絞り直してビニール袋へ。
私に「水、足りてる?」と目だけで尋ねる。
私はうなずき、銀色の毛布を肩まで引き上げる。
膝の上で小さな光の丸を作り、そこに手を置いた。
丸は頼りないけど、境界線がはっきりしている。
名簿を読む声は減り、代わりに毛布の擦れる音や、どこかで誰かが咳を二度こらえる音が目立つ。
床のビニールと靴底が触れ合うたび、短い音が跳ねて消え、すぐに別の音が重なる。
父は懐中電灯の明るさをもう一度確かめ、電池を逆さにして戻し、「万一のために」と口の中で言った。
母は濡れたタオルを絞り直してビニール袋へ。
私に「水、足りてる?」と目だけで尋ねる。
私はうなずき、銀色の毛布を肩まで引き上げる。
膝の上で小さな光の丸を作り、そこに手を置いた。
丸は頼りないけど、境界線がはっきりしている。

