配布の列が一段落し、体育館の空気に少しだけ余白が生まれた。

天井の鉄骨に沿って走る雨音は相変わらずで、ときどき外の風が強まるのか、屋根の一部だけ別の太鼓みたいに鳴る。

受付横の机には、濡れて柔らかくなったダンボールのふたが何枚も重なり、端が波打っている。

係の先生が次に必要な作業を読み上げる。

「食物アレルギー表示のある食品はこの箱へ、乳・小麦・卵で色分け。毛布はサイズ別に仕分けて」

私は自分の区画に置いていた毛布の端を握りしめたまま立ち上がり、机の前へ回り込む。

視線はラベルの活字に置く。

英字の成分表、数字の列、細かな注意書き。