目を合わせるまでの距離

図の水色の帯が金曜まで続いている。

一週間が長く感じた。

席に着くと、りこがメッセージアプリをちらりと見せる。

クラスのグループに、去年の防災訓練の写真。

体育館の銀色の毛布。

私は画面から視線を外し、パンの袋を静かに開けた。

袋の端を裂く音が、やけに大きい。

教室のざわめきと重なり、胸の中に小さなざわめきが増える。

机のパンくずを指で集める。

前の男子が振り向き、「落ちたよ」と床を指した。

私はうなずき、ありがとうは小さく。

目はタイルの継ぎ目。

怖くない。

チャイムが鳴る。

次のノートを出しながら、四拍で呼吸を整える。

今は食べ終えればいい。