ベンチのある小さな公園まで歩いて、街灯の丸い光の下に座る。
猫がフェンスの向こうで尻尾を振り、風鈴の音が遠くから返ってくる。
湊さんが、さっきの指の四角をもう一度なぞるみたいに、丁寧に提案する。
「まず、“手首トントン”を二回。これは離れてOKの合図。人が多いとか、視線がつらいとか、なんでも理由にしていい」
私は手首にそっと指を置いて、うなずく。
「二回で、離れる」
「それから、“指一本”。これを上げたら深呼吸をいっしょに。四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。どっちが上げてもOK」
指を一本、胸の高さで立てる。
いち、に、さん、し。
空気が広くなる。
猫がフェンスの向こうで尻尾を振り、風鈴の音が遠くから返ってくる。
湊さんが、さっきの指の四角をもう一度なぞるみたいに、丁寧に提案する。
「まず、“手首トントン”を二回。これは離れてOKの合図。人が多いとか、視線がつらいとか、なんでも理由にしていい」
私は手首にそっと指を置いて、うなずく。
「二回で、離れる」
「それから、“指一本”。これを上げたら深呼吸をいっしょに。四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。どっちが上げてもOK」
指を一本、胸の高さで立てる。
いち、に、さん、し。
空気が広くなる。

