目を合わせるまでの距離

空が一度だけ暗く深くなって、ドンという最初の音が川面から上がった。

胸の奥が反射で跳ねる。

頭上で大きな丸がひらき、遅れて音が腹に届く。

目が泳ぎかける。

私は手首の親指側に指を置き、トン、トンを探す。

――いた。

小石みたいな鼓動。

「ここ、風上側に半歩ずれる」

湊さんが半歩斜めに移動して、視線の通り道に自分の肩をさりげなく入れる。

私はうなずく。

「もし行けたら、三秒を二回。休んで、五秒に一本」

「うん」

二発目。

私は三秒。

いち、に、さん。

視線を下ろす。

呼吸は崩れない。