夏祭りの夜は、川べりの仮設の提灯から始まった。

雨はもう思い出の端で、舗装の濡れ色も乾きに変わっている。

出店の列は、焼きそば、かき氷、綿あめ、射的。

空気は甘くてしょっぱくて熱い。

私はパーカーの胸ポケットから三秒ノートを取り出し、今日の頁にタイトルを書いた――「花火」。

欄外に小さく計画も足す。

・人混みでは5-4-3-2-1で整える

・合図はいつもどおり**「丸」(言うだけでOK)

・いけそうなら、“名前で呼ぶ”+視線三秒→五秒**

スマホには、りこから昼のうちに届いた一言が残っている。