★が跳ねる。

湊さんが半歩斜めに立ち、「今日はここまででいい」と言う。

「明日もここにいたら、また手伝って。……それと、“名前で呼ぶ”の続きは、灯が決めて」

「うん。決める」

私は自分の声で答え、ライトのスイッチを一度押して小さな丸を作る。

境界線は、私が引ける。

白いテープの継ぎ目を一歩。

自分の歩幅で一歩。

世界は急に広くならない。

でも、広げる方向を選ぶのは、たしかに私だ。

私は四つ吸って、四つ止めて、四つ吐く。

ノートの端に小さな星を一つ描き足し、ページを閉じた。