家の角を曲がる前、颯太が軽く手を上げた。 「じゃあな、彩花」 ――名前を呼ばれるだけで、鼓動が早くなる。 私は小さく手を振り返した。 暗闇の中、ほんの短い時間が、確かに私を支えてくれる。 小さな約束が胸の奥で光っていた。