「無理すんなよ、って言ったのに」

颯太が冗談めかして言う。

私は視線を足元に落とす。

「……でも、あのまま家に帰ったら、きっと勉強できなかったから」

暗がりに紛れる声。

でも、聞かれていると思うと心が少し軽かった。