「次の模試、日程もう一回確認しようか」

母はカレンダーをめくり、ペンで丸をつける。

予定が黒い実のように増えていく。

私は「うん」と短く答える。

ふと、母の爪の先が小さく欠けているのに気づく。

私を支える手の、ささやかな傷。