食卓に腰を下ろすと、味噌汁の湯気が顔に触れた。

母は椀を置きながら「この調子で、次はAだね」と笑う。

私はうなずく。

うなずいた拍子に、椀の表面に小さな波が立つ。

波紋が広がって消えるたび、心の音が遠のいていく。