「伝えたいことがある」

彼の声が、少しだけ低くなった。

私は息を止める。

言葉を選ぶ間の沈黙が、風の温度を変える。

彼は続けた。

「好きだ。——これからも、並んで歩きたい」

一文が胸の中心に置かれる。

置かれた場所が、最初から用意されていたみたいに、ぴたりと合う。