最後のホームルーム。

先生が黒板を見て笑う。

「簡潔で、いい」

クラスメイトのノートが一斉に閉じる。

閉じる音が重なって、今日が一枚分薄くなる。

机の木目は、いつも通り真っすぐだ。

ここで泣かないと決めた。

涙はあとに回す。

今は、まっすぐに受け取る時間だ。