校門の桜は、まだ固い蕾を抱えている。

枝先だけがほんのり色づき、風に合わせて小さく揺れる。

卒業式の看板が、時折かすかに鳴る。

私は黒板に「三行」を書いた。

〈ありがとう/ごめん/またね〉

チョークの粉が指先に残り、教室のざわめきが一瞬だけ深さを変えた。