制服のボタンを一つずつ留める。

鏡の中の顔は、まだ完全には現実を飲み込めていない。

けれど、目の奥に小さな灯がある。

鞄に「三行」を戻しながら気づく。

これは終わりの道具じゃない。

これからの持ち手だ。

持ち手のある重さは、ちゃんと運べる。