発表は十時。

秒針が跳ねるたび、台所の湯気が揺れる。

母は味噌汁の蓋を少しだけずらし、火加減を確かめる。

父は新聞をたたみ、テーブルの端を指でまっすぐにする。

私は机に座り、スマホを伏せたまま指を組む。

通知は切ってある。

静けさは音を孕む。

家の空気が、ゆっくりと前へ傾く。