駅までの道は、風が冷たい。

けれど足取りは崩れない。

鞄の前ポケットが少し軽く感じる。

付箋が擦れる微かな音が、まだ胸元にいる。

家路の角で私は小さく笑ってしまう。

今日の自分は、間違いなくここにいた。

あの三行の舟で、波を越え、岸に上がった。

次の岸は、きっと、ほんの少し先にある。