集中がほどけそうな瞬間が来る。

袖口の糸をつまみ、二十秒だけ目を閉じる。

面談の日の先生の声が、教室の壁に淡く反射してよみがえる。

〈焦りが最も失点に繋がる〉

肩の力を抜く。

掌の中央に呼吸を置く。

再開すると、鉛筆の音がまた一定に戻った。

紙の白は、まだ自分を受け入れてくれる。