会場に入ると、紙と鉛筆の匂いが薄く満ちていた。

長机の端に貼られた番号。

私の席は窓際の列の一番外。

外の光は弱いが、十分だった。

机に手を置く。

冷たさが骨に伝わって、かえって落ち着く。

監督者の注意が淡々と続き、時計の針が音もなく進む。

私は目を閉じ、三行を心の中でゆっくり読み上げる。

焦りは波。

手順は舟。

舟があれば、波は越えられる。