閉館のチャイム。

机を片づける前に、「三行」をもう一度だけ読む。

紙の白が、暗い窓に映る。

鞄の前ポケットに戻す。

出口で、颯太が手を上げた。

「また明日、同じ時間」

私は「了解」と返す。

外は濡れた道が続いていた。

足もとは冷たい。

でも、前は見えている。

線は今日から明日へ、そのまま伸びていった。