廊下を歩くと、友達に呼び止められた。

「カフェ行かない?」

迷いは、一瞬だけ。

私は笑って首を振る。

「今日はこのあと、やることがあるから」

声は角が取れていた。

断ることが、逃げることじゃない日もある。

背中で、颯太が短く「行こう」と言う。

歩幅がそろう。