帰り道、母は歩幅を合わせてくれた。

「褒めるの、得意じゃないけど、やってみるね」

私は笑って頷く。

父は前を向いたまま、「寝る時間、守れ」ともう一度だけ言った。

言葉が少ないのは分かっている。

家族それぞれのやり方で、同じ方向を向こうとしている。

雨は冷たいのに、指先は温かかった。