分かれ道の角が近づく。

家の窓に色が灯り、湯気の気配が漂ってくる。

「ここで、また明日」と颯太。

私は「今日はありがとう」と返す。

言葉は短い。

温度は高い。

足音が分かれていく。

背中の鞄が、さっきより軽い。

鍵を探す指が、もう急がない。