歩き出してから、家の話になった。

母の「大丈夫よ」が、時々鎖に変わること。

父の沈黙が、正解の列のように見えること。

言ってから少し怖くなる。

けれど、颯太は横顔だけで聞いた。

「応援ってさ、重さがあるよな」と短く言う。

その一文が、胸の中で正しく重く乗った。

私だけの重さじゃない、と分かった。