「負けた気がした」と口にすると、頬の内側が少ししょっぱい。

悔しさはまだ熱い。

彼は、前を見たまま言った。

「負けた“理由”を拾えたなら、もう半分は勝ってる」

足元の影が揺れる。

拾えたものは、対比。

時間配分。

読み飛ばし。

私は並べて確認する。

悔しさは消えない。

でも形がつけば、持ち運べる重さになる。