「ありがとう……」

声はわずかに震えていた。

けれど颯太は気にする様子もなく、鞄を肩にかけ直した。

その自然な仕草さえも穏やかで、胸に積もっていた重さがほんの少し溶けていくように思えた。

心臓の鼓動が静かに落ち着いていった。