席に戻ると、颯太が一瞬だけ顔を上げた。

目が合う。

言葉はない。

ゆっくりしたうなずきだけで、十分だった。

ノートの端に今日のミスを書く。

「設問文の読み飛ばし。根拠の薄い選択。時間配分。」

黒い点を線でつなぎ、小さな地図に変える。

紙の白さが、もう一度私を受け入れた。

次の一題が、静かに扉を開く。