廊下へ出て、水を買う。

冷たさが手のひらから腕へ登る。

壁にもたれて、目を閉じた。

「A、出た?」という笑い交じりの声が遠い。

胸の水面がわずかに波立つ。

スマホの通知を閉じ、メモを開く。

「対比・因果・例示にマーク。見直し三分。」

短く打って、保存する。

音が静かになった。

戻ろう。