数学へ切り替える。

数列の初項や等比、項間の関係までは指が覚えている。

なのに式は途中で薄れ、道筋を見失った矢印だけがノートに増えていく。

消しゴムの欠片が静かに積もった。

どこで間違えたのか巻き戻しても、同じ地点で思考が止まる。

窓の外はゆっくり色を失い、息は浅い。

立ち上がれば崩れそうな集中だけは、まだ手放したくなかった。