カードを通す音。

ドアが開く。

静けさと紙の匂い。

受付を過ぎ、いつもの廊下を歩く。

一歩ごとに、さっきのざわめきが遠ざかる。

席に着いたら、まずは英語から。

ページを開く。

視界の端に、颯太の背中。

「次は上げる。」

心の中で、もう一度。

ペン先が、白い紙の上で最初の線を描いた。