昇降口を出ると、冬の風が頬を刺す。

白い息が舞う。

「お疲れ。」

声に顔を上げると、颯太が壁にもたれて立っていた。

「あ……お疲れさま。」

短い会話なのに、体の緊張が少し解ける。

「模試、どうだった?」

聞かれるのが怖かった。

でも、嘘をつくのも違う気がして。

「……B判定。思ったより伸びなかった。」

目を伏せると、颯太は「そうか」と一言。

慰めもなく、責めるでもない。

淡々とした声なのに、不思議と心が落ち着いた。